コーヒーソムリエ試験、2項目の「生豆の選び方」。
Part 1 のハンドピックに続いて、今回はコーヒーの香りや味に影響する精製方法です。
コーヒーの精製とは?
コーヒーは、コーヒーの種子。コーヒーフルーツといわれる実の中心に一対になって存在。その周りを銀皮、パーチメント(内果皮)、果肉、外皮がおおっている。熟した実はそのままにしておくと約8時間で腐敗してしまう。外皮や果肉を取り除く作業が精製。5㎏のコーヒーフルーツから、生み出されるコーヒーは1kg。
乾燥方式
別名:ナチュラル、非水洗式、アンウオッシュド
工程:収穫した果実を天日乾燥、脱穀機で果肉等を除去して、選別
メリット:工程が単純で、低コスト
デメリット:天候の影響を受ける、精製日数がかかる、不純物・欠点豆が多く混じりやすい、豆の外観が見劣りする
含水率:11~12% グリーンが濃い
味の特徴:フルーティ、十分なボディ。後味がクリーンでないケース、ワインのようなアルコールの香り、最悪の場合は、ヴィネガーの香り。
水洗方式
別名:ウオッシュド
工程:収穫した果実を貯水槽につけ不純物を除去、果肉を除去、発酵、水洗、乾燥(天日、機械)、選別、残った内果皮を脱穀
メリット:高い精製度
デメリット:工程でダメージを受ける確率が高い、発酵臭が付着する(発酵槽の管理不備)、高コスト
含水率:12~13%
味の特徴:ナチュラル式よりクリーンな味わい、軽めのボディで、発酵時にpHが下がり酸味が際立つ。
折衷方式
パルプド・ナチュラル
工程:選別機(パルパー)で完熟のやわらかいチェリーのみ選別、外皮・果肉を除去、乾燥(天日)、選別、パーチメントを脱穀
味の特徴:水洗式よりクリーンでボディがあり、酸味は控えめ。ナチュラル式に近い味。
備考:90年代にブラジルで考案
ハニープロセス
工程:外皮・果肉の大部分をはぎ取り、パーチメントにミューシレージが付着した豆を乾燥、パーチメントを脱穀。ミューシレージの除去率75~90%はホワイトハニー、50~75%はイエローハニー、5~50%はレッドハニー、最低限のものはブラックハニー。
メリット:高い選別度、均一な豆
デメリット:ミューシレージ除去機械が高額
半水洗式
別名:セミ・ウオッシュド、ギリン・バサ式
工程:収穫した果実を貯水槽につけ不純物を除去、外皮・果肉を除去、発酵、一次乾燥(天日)、パーチメントを脱穀、二次乾燥、選別・保管
メリット:湿度が高く、開花期と収穫期が繰り返し訪れ、天日干しの作業が複雑になるインドネシアの天候に見合った方法
味の特徴:重厚なボディ、少ない酸味
おわりに
選別にひっかかった欠点豆はどうなってしまう?
業務用のエスプレッソブレンド、インスタントコーヒーの原料としてコモデティ市場に流れるそうです。
<参考資料>田口護, 2006「田口護の珈琲大全」NHK出版;チュング‐レング トラン, セバスチャン・ラシヌー, 2017「コーヒーは楽しい!」パイインターナショナル