コーヒーの味を決定づける三大要因、生豆、焙煎、抽出。
なかでも、焙煎は、その微妙な違いによってコーヒーの味や香りを大きく変えていきます。
酸味と苦味だけでない、アロマ、風味、ボディなど、ローストが醸し出すユニークな個性。
国内で一般的とされる焙煎度は8段階です。
最も浅煎りのライトからイタリアンまで、それぞれの焙煎度がもつ特徴と魅力は?
浅煎り
生豆本来の風味を最大限に味わうなら浅煎り。
オーソドックスな日本のコーヒーシーンでは影をひそめていましたが、スペシャリティコーヒーやシングルオリジン(単一原産地)の出現で脚光を浴びるように。
コーヒーの新しい魅力に出会える焙煎度です。
1.ライトロースト
最も浅いローストで、明るい茶色。
酸味が主体です。
2.シナモンロースト
ちょっとくすんだ茶色のシナモン。
酸味と甘味が調和して、繊細な味わいが感じられます。
ベリーやフローラルな香りをもった生豆のアロマを開かせる焙煎度。
3.ミディアムロースト
中程度の茶色。
ミディアムという名前ですが、浅煎り区分に入っています。
豆本来の風味が感じられやすく、全体的に軽やかなボディで、すっきりとした味わいが魅力。ヘーゼルナッツやアーモンドのような香ばしさを感じることも。
中煎り
浅煎りと同じく、一般的ではなかった中煎り。
コーヒー文化の多様化によって、ハイローストを扱うお店も増えています。
4.ハイロースト
少し深めの茶色。
自然な酸味と甘みにコクがプラスされた、バランスの良い焙煎度。
ミディアムより酸味が抑えられ、クルミやピーナッツのようなナッツの風味が現れることもあります。
中深煎り
昭和時代に大きく花開いた日本の喫茶店文化。
そこで好まれたのが、バランスの良い中深煎りです。
多くの日本の人にとって、なじみ深いコーヒーといえば中深煎り。
5.シティロースト
濃い茶色で、コーヒー独特のコクと深みが魅力。
酸味と苦味のバランスが良いのも特徴です。
焙煎によるカラメル化が進み、ナッツ、チョコレートやスパイスのような風味が感じられます。ニューヨークシティで愛された焙煎度であることから、シティの名がつきました。
朝の一杯、休み時間のリフレッシュ、カフェでのんびり時間にと、万能コーヒー。
6.フルシティロースト
焙煎度が進み、豆の色は深い茶色に。
豆の酸味が抑えられ、コク、甘味、苦味の複雑な味わいが魅力。
ナッツ、チョコレート、カラメルのような甘さが引き立つ焙煎度で、スモーキーさも加わります。
焙煎度は進んでいるのに重すぎないので、仕事の合間にも。
冷たいコーヒーとしてもおすすめ。過度な苦味がないので、スッキリとした味わい。フルシティローストの若干の酸味が、コールドブリューやアイスコーヒーを引き立てます。
深煎り
「深いコクと濃厚な味わい」が最大の特徴。
ビターチョコレート、さらにはスモーキーな香りが強くなります。
独特の苦みと重厚感は、南欧で好まれたコーヒーの味。
7.フレンチロースト
豆の色はほぼ黒に近くなり、表面にオイルが浮かびます。
ボディ感が強く、口当たりが重厚です。
スモーキーな香りも漂いますが、微妙な甘味やキャラメルのような風味も感じられます。
ちょっと疲れたときには、フレンチローストでパワーチャージ。
8.イタリアンロースト
最も深い焙煎度で、豆は黒々として表面がツヤツヤ。
苦味が最高潮に達し、スモーキーな香りが強く、まるでキャンプファイヤーを楽しむかのような感覚が味わえます。
強い刺激が欲しいときにどうぞ。イタリアンローストのコーヒーは、心地よいシャープさを与え、集中力を高めるのに役立ちます。
おわりに
それぞれに異なる個性が光る、コーヒーの焙煎度。
コーヒー好きにとって、焙煎度の違いを試しながら、自分の好みを見つけるのはとても楽しい冒険です。次にコーヒーを飲むときには、焙煎度に注目してみてください。
新たな味わいや楽しみがきっと見つかるはずです!