炭と珈琲

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おうち焙煎:やらないわけにいかない3つの理由

カフェに喫茶店、街にはコーヒーショップがたくさん。

コーヒースタンド、ロースタリーカフェも増えています。コンビニの淹れたてコーヒーも手軽で美味し、種類が豊富なドリップバックも楽しい。かつてないほど、充実しているコーヒーの世界。なぜ、わざわざ自分で焙煎をするの?

英語圏で、お家焙煎の古典と称される”Home Coffee Roasting”。著者Kenneth Davidsさんがあげるホームロースティングをする3つ理由とは?

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理由1:コーヒー本来の楽しみ方

そもそも、コーヒーは自ら焙煎するものだった。コーヒー発祥の地、エチオピアでは焙煎はコーヒーを楽しむ時間の重要な一部。客人をもてなすコーヒーセレモニーでは、まず、ホストが生豆を焙煎するところから始め、炒りあがったコーヒー豆をひき、コーヒーを入れる一連の工程を楽しみます。

アメリカでは19世紀後半まで、エスプレッソで知られるイタリアでは20世紀半ばまでホーム・ロースティングが一般的でした。深い苦味のあるコーヒーを好むイタリアのナポリでは、みんなバルコニーでコーヒーを焙煎。焙煎に伴う魅惑的な香りと残り香が、町中に漂っていたそうです。

理由2:経済性の高いお家焙煎

Davidsさんの計算によると 生豆を買って自分で焙煎すれば、25%~50%焙煎した豆を買うよりお得になる。その分、良質の豆を楽しむのもありです。

一昔前は、大変だった生豆の入手も、インターネットとコーヒー愛好家の増加のおかげで、簡単に手に入るようになりました。ハイエンドのコーヒー豆から普段使いのものまで、産地も品種も多種多様なものが取り揃えられています。しかも、100gという少量から生豆を注文できるお店もあって焙煎パラダイスです。

理由3:焙煎は錬金術

卑金属を貴金属に変える錬金術

そのままでは取り立てて味わいのない生豆。なのに、ひとたび焙煎すると、たまらなく魅力的なアロマと、類を見ない味わいが醸し出されます。人々に歓びを与える飲み物に変性させる技は、まさに錬金術です。

焙煎は神秘的で専門家の領域のように感じますが、一昔前まで、人々が普通に行っていました。パックにされて棚に並ぶ焙煎豆を飲むだけではつまらない。自分で焙煎したコーヒーを飲んでみると、消費主義に奪われてしまっていた充足感が静かに心を満たしていきます。

おわりに

芳香あふれる焙煎は、そもそもコーヒーの楽しみの重要な一部。錬金術のように神秘的で心満たす工程です。そんな価値ある焙煎を人にまかせずに自分でやると、その分お得にコーヒーが楽しめる。コーヒー好きなら一度は試したい、ホーム・ロースティングです。